平成27年2月に「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下、空家対策特別措置法)が施行され、国土交通省の平成28年度予算には空き家対策総合支援事業として41億円が計上された。
 住宅・土地統計調査(総務省)によれば、1983年に8.6%だった空き家率は2013年には13.5%に増加しており、管理されていない建物の倒壊の危険、不衛生、景観を損ねるといった問題が深刻になってきている。
 核家族化により新築住宅が増える一方で、高齢化、人口減少により古家はそのまま残される。さらに住宅用地の固定資産税評価額は、200㎡以下であれば6分の1に軽減される等の特例があり、住宅を取り壊して更地にすると、課税額が高くなってしまう。そのため、土地を使用または売却する予定がなければわざわざ費用をかけて建物の解体を積極的に行うことは少ない。しかし、今後は空家対策特別措置法により、市町村は使用されていない建物について、住宅用地特例の解除や、建物の解体等の助言、勧告、命令ができるようになる。

 空き家が増加するもう一つの要因として、日本では中古戸建住宅の販売市場が成熟していない点があげられる。国際的な観点から比較すると、住宅取引全体における中古住宅の取引件数の割合は、アメリカやイギリスが80%程度であるのに対し、日本は15%程度にすぎない。法規制や物価水準により、欧米・欧州諸国は日本よりも住宅を新築しづらいという状況もあり、これらの国では、中古住宅を購入するのが普通なのである。
 なお、日本で中古住宅の流通を阻害している要因としては以下のものが考えられる。

  • 築後20年を経過した住宅は担保価値がほとんど無いとみなされ、住宅ローンが借りづらくなる
  • 旧耐震の住宅は税制上の優遇が受けられない
  • 住宅の性能、瑕疵について判断が難しい

 近年、日本全国の市町村では中古住宅の市場活性化のため、空き家バンクという制度が設けられている。これは、売却や賃貸を希望する住宅の情報を市町村に登録し、購入又は賃借希望者と引き合わせようというサービスである。この制度を使用して住宅を購入、賃借した場合には修繕費用等について市町村から補助を受けることができる。
 日本の空き家率は、現状のまま推移すれば2023年には20%を超える見込みとの報告もある。空家対策特別措置法が空き家率及び中古住宅市場にどのような影響を与えるか、注目したい。