2025.06.05
お知らせ
SDGsへの取り組み~当社における森林再生を通じての具体的な取り組み事例~
日本の森林の4割を占める杉檜などの人工林は、その多くが植林されて50-70年経ち抜採可能な時期を迎えています。しかし、個人所有の山林の場合、土地の所有者が地元を離れて相続登記がなされず放置されているケースが多く、土地境界を確認することは困難です。今回の取り組みは、これらの課題を解決し、森林の伐採、利用、植林、育成の循環サイクルを維持させることにあります。
森林再生の事業区域は、岐阜県内のA市の標高約450mの山林で昭和初期までは、薪炭林として利用していましたが、その後、杉檜が植林され、すでに抜期が来ている立木が多い地域です。事業の内容は杉檜等の伐採と利用、その後植林と育成を行う予定です。
区域面積は約3ha、土地の筆数は50筆程度です。
1.再造林をするための課題
(1)相続登記がされていない山林が多く、現在の所有者の確認が必要。
(2)林地境界が不明であること。
(3)立木の抜採、植林作業を誰が行うのか。
それぞれの課題について次のように取り組みました。
(1) 現所有者の確認
区域全体の登記簿調査と必要により閉鎖登記簿、旧土地台帳などを調査して関係者(10人程度)を訪問して確認しました。
(2) 林地境界の確認
公図、旧地籍図、森林簿地図、保安林台帳、過去からの航空写真を突合し、現地踏査による概ねの確認のうえ、所有者の了解を得ました。
(3) 再造林のための委託業者の選定
対象区域の所有者と林地境界を確認のうえ、森林組合に委託し、再造林
のための契約を、個々の所有者ごとに締結しました。
2.現在の状況と今後
抜採作業は概ね3か月で、終了し(直径18cm以上は用材、それ以外はバイオマスとして利用。)、早ければ6か月から1年後には、杉、檜、広葉樹の植林を行う予定です。今後の育成についても引き続き委託して行う予定です。
子々孫々まで、自然豊かな山林として継承できればと思います。
(重機による伐採状況)
(伐採後の木材を太さごとに選別し木材市場へ搬出します。)
3.まとめ
以上は事業の概要ですが、着手して森林組合に委託するまでに概ね3年間を要しており、実働30日程度です。何とか目的を達成できたのは、当初植林された方々の労苦があったこと、それとボランティアとして森林再生に取り組むということで、地元の方及び関係者の協力が得られたことです。
所有者と境界の確認は、ある程度不動産の知識と経験を要します。林地の鑑定評価及び権利者調整の経験が今回の活動に大きく役に立ちました。
100年後を見据えて、脱炭素、水源の確保など、日本の将来のため自然を維持できるのは森林があってこそであります。
今回の取り組みは森林再生の入り口づくりであり、今後もこの事業についてフォローして行きたいと思います。