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2018.09.21

固定資産税

路線価の評定

1.路線価評定の意義

 不動産鑑定士により標準宅地の鑑定評価額が算出され、その標準価格を基に主要な街路の路線価が決定する。そして主要な街路の路線価を基に土地価格比準表によって比準計算を行い、個々のその他の街路の路線価を算出する。

 しかし、機械的に主要な街路から比準してその他の街路を算出すれば路線価が決定されるのではない。固定資産税の評価額は、「固定資産評価基準」に基づき、「適正な時価」を求めなければならないとされている。そのためにも、評価額算出の前提となる路線価が、「自市町村の状況に応じた適正な評価」を表していなければならない。

 この路線価の適正な評価を行うに当たり必要とされる作業が、面的な価格均衡を考慮する検証作業である。均衡といっても、単に路線の周辺のみの均衡だけではなく、用途地区間や状況類似地域内、さらには前基準年度における路線価、相続税路線価との整合性や隣接市町村の路線価の均衡などの意味を含めたものである。

 これらの検証作業を通じて、固定資産税評価の公平性が保たれるものとして路線価評定は位置づけられる。

2.作業計画の重要性

 鑑定評価額が算出された後、往々にして、問題視している局所的な箇所の路線価の検証に入りがちである。

 しかし、限定的な地域の価格検証が先行すると、後から広域的な視点で検証した際に、同様の作業をやり直すことにもなりかねない。そこで、各検証の段階を、どういった手順でいつまでに終えるかと言う作業計画を策定した上で、個別の検証作業に取り掛かることが望ましい。

 実際の作業計画は、市町村の規模や評価方法等によって大きく異なるが、鑑定評価額の確定時期、時点修正の検討時期等を視野に入れた、一般的な日程例に下記のようなものがある。

3.検証作業の主な観点

(1)用途地区間の均衡

 価格事情の異なる用途地区間における価格差を検証する。

(2)主要幹線道路と背後地の路線価の均衡

 用途地区が併用住宅地区である幹線道路と、その背後に面的に広がる普通住宅地区との相互の価格を検証する。

(3)同一用途地区間の均衡

 路線価の検証は、広域的な視点から徐々に個別的・地域限定的な視点に移る。標準宅地の価格変動が大きな状況類似地域では、価格差に注意が必要である。

(4)状況類似地域内の均衡

 前基準年度からの街区の状況の変化、例えば道路が拡幅された等の路線データの変更を踏まえた路線価への反映が必要である。

(5)隣接市町村との均衡

 市町村境の街路は隣接市町村との調整が必要である。

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